炎上・トラブル案件に入る時に意識している心構え

2021年4月3日土曜日

ディレクタースキル 炎上

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結構前からトラブル案件とかに関わることが多いので、その時のノウハウとか心構えみたいなものを書きたいと思います。

炎上対応の成否を決める心構え

この手のトラブル案件とかの対策で一番大事なのは心構えだと思っています。
そして、大事な考え方として「トラブル起きているんだから評価は最底辺から始まる」と捉えること。これは、逆に言えば「あとは上がるしかない」ということ。
トラブルだからこそ、いろいろ大変なこともありますし、きついこともあると思いますが、最終的には評価として返ってきますし、ほぼ必ず評価はあがって返ってきます。

普通のことを普通にやることの重要性

最底辺から始まる以上、新しいやり方 (これ極めて普通のやり方でいいんです)  を何かするたびに、すごく高く評価されます。そして、普通にやったことが評価されることで、発言力が増し、よりプロジェクト運営をやりやすくなる。そういう流れができあがります。
普通の取り組みが評価され、運営がやりやすくなり、運営がやりやすくなる分、より成果につながりやすくなり、成果につながるものだから、さらに信頼してもらえてやりやすくなる。結果、自分を中心としたプロジェクトの団結を作り出せる可能性のあるプロジェクト、そんなプロジェクトが炎上・トラブル対応の特徴です。
※もちろん、炎上していないプロジェクトも普通にやるべきことです。

ごくごく普通のことで評価される例

あるプロジェクトでは、会議のあとの議事録もなく、ネクストアクションの整理もなされておらず、課題管理なども行われておりませんでした。どうやって進んでいたかというと、プロジェクトメンバー全員が、会議後に何をするのかを自社に持ち帰り整理し、それが間違っているみたいな動きをしていたんです。
そこで最初の取り組みとして、会議の最後にネクストアクションを整理し、それを即時テキストベースのメモとして画面に表示し、合意することをしました。それだけでクライアントは「こういう動きだよね!」という感じで、大きく信頼してくれました。この信頼を勝ち得るだけで、その後の取り込みが非常にやりやすくなります。
やっていることは、会議の参加し、ネクストアクションを整理し、最後に5分もらって合意するだけ。それだけで信頼が得られるという不思議な状態が、そのプロジェクトにはありました。
普通のことすら行われていない異常事態が、炎上プロジェクトということです。

継続的なサイクルは常に疑え!ぶっ壊せ!

次に大事な心構えは、「トラブルが起きている以上、これまでの取り組みはうまくいっていないと疑う」こと。常に意識することで、これまで取り組んでいたトラブルの原因になる流れを断ち切る意識を持てます。

毎日提出サイクルを変え、プロジェクトを健全にした例

あるプロジェクトでは、毎日お客さんに対して提出するという予定を組んでいました。
メンバーは、毎日提出があるので、その品質を維持するために、夜遅くまで頑張って対応していました。そんなことを、2か月以上続けていたのです。
参画した直後に状態を把握した結果、メンバーの疲労具合や、成果物量などを踏まえると、品質が維持できないのは明らかでした。最悪のケースを想定すれば、メンバーが倒れてしまうことも、強く意識させられるレベルです。プロジェクトを実行するメンバーが倒れてしまっては、プロジェクトを完遂することはできません。プロジェクトは崩壊してしまいます。

こんな状況でしたので、すぐにクライアントに「なぜ、毎日のサイクルを求めているのですか?」と相談に行きました。
クライアントの返答は「これまでに出てきた成果物の品質が悪いため、細かく確認しないと心配だ」というものでした。
つまり、品質を高めたいための取り組みが、結果として品質を下げることになっていたわけです。そして、受け手側も、その意図を組み切れず要望にがんばって答えていたわけです。

そこで私が提案したのは、毎日提出から週次の提出に、サイクルに変更させてもらうことでした。週次のサイクリングすることで最初の2-3日で頑張って作り、残りの2-3日で品質を上げるための検証や調整をする、ということでクライアントと合意し、サイクルを変えました。
その結果、メンバーは2-3日という幅で調整ができるため、精神的な負担も軽くなり、体調の管理もしやすくなり、最終的に提出する品質も大きく向上しました。

「これまでやってきたから」「クライアントが求めているから」ということが、どれだけ思考停止かわかる例だと思います。そして、プロジェクトに長く入っているメンバーでは、これに気づけないものなのです。

いやいや、コミュニケーション頻度を上げましょうよ、の例

一方、別のプロジェクトでは、2週間に一度の定例会を開催して成果物を確認する、というサイクルでプロジェクトを進行していました。
そのサイクルを意識しすぎるあまり、2週間に1度しかクライアントに何かを確認する機会を作らず、確認事項は定例会で確認する、という動きが常態化していました。電話で話せば5分で解決することなのに、サイクルを意識しすぎるあまり、2週間寝かせるという動きですね。
この動き方をしていたために、2週間に一度の頻度で、プロジェクトは大きく遅延していきました。

私が入ったあとは、毎日朝30分みんなで質疑をするという時間をいただき、サイクルを変えました。
また、そのときには、「今更、、、?ということも改めて聞くかもしれません」ということを事前に予告し、メンバーが聞くことで怒られたり詰められたりすることがないように、事前に合意しておきました。
そうすることでメンバーは安心してクライアントに問いを投げられ、(クライアントはこのレベルを分かってなかったんだというきっと不満はあったと思いますが) プロジェクトうまくいかせるためにスムーズに答えてもらえるようになりました。
結果2週間の確認サイクルだったものをデイリーの確認サイクルに変わり、スピーディーなプロジェクト進行ができるようになりました。

メンバーの口を閉じさせるな!

もう一つ大事にしていること、それはメンバーの口を閉じさせないということです。
既に入っているメンバーは、後から参画した自分よりも圧倒的にプロジェクトの知識や課題認識があるものです。その知識が課題が埋もれてしまってはプロジェクトはうまくいきません。
そんな知識があるのに、何かの理由 (多くな心理的な安全性の部分) があり、課題を口に出せないことは往々にしてあるものです。炎上の収束させるためには、既存メンバーの口を閉じさせては絶対にいけないのです。課題を口にしてもよいんだ、と感じてもらうことで、プロジェクトのやりやすさや、自浄作用は大きく改善していきます。

炎上対策が入った自分が何でもできるわけではなく、結局プロジェクトはみんなでやりあげるもの。それを踏まえたら、みんなで積極的に声を出せる環境を作ってあげることが非常に重要なのは自明だと思います。
ともすれば、プロジェクトメンバーがやりやすい場を作ること、それが後から炎上対策として現場に入って者の役目だと考えています。

終わりに

今回炎上プロジェクトトラブルプロジェクトに参画するときに、心構えとして持っておくと良いことを書いてみました。
炎上プロジェクトは様々なパターンがあるので、「これをやれば絶対大丈夫」ということはありません。しかし、サイクルを変えるということや、これから上向きに持っていけること、メンバーみんなで取り組むことなどの基本的な心構えは、ある程度どのようなプロジェクトでもあてはまるのではないでしょうか。

この世から炎上プロジェクトというものがなくなることが私の願いです。
ですが、もし、あなたが炎上プロジェクトを収束させる役回りをになったときに、少しでも参考になれば幸いです。

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